5シリーズ E39 528i エンジン交換

こちらの車両は、弊社でE36 318tiを購入いただいたC様所有の’97年式の528iです。名神高速道路で運悪く冷却水漏れをしてオーバーヒートした為入庫いたしました。走行13万5千キロ

これが、原因のサーモスタットハウジングです。左の方に3cm位のクラックが入っております。

入庫の状況からシリンダーヘッドガスケットの抜けが予想されましたが、まずは交換して見ます。
ウォーターポンプのガタもありましたので同時交換します。

交換作業を終えエンジンを掛けて見ました。
ぷしゅーとラジエターキャップから冷却水を噴出しました。
ラジエターホースもものすごい圧力が掛かっています。
やっぱりヘッドガスケット抜けしています。

こうなると修理方法は、3択です。
1、シリンダーヘッドガスケット交換&シリンダーヘッド面研
2、エンジン交換
3、車交換
お客様と相談した結果今回は、2番で修理することになりました。

走行6万5千キロの中古エンジンが見つかりましたので、注文しました。5社くらいに聞いてこのエンジンしか見つかりませんでした。
エンジンが届きました。
しっかり梱包されています。
5人がかりでトラックの荷台から降ろしました。
重いです。

早速作業に取り掛かります。
今回は、お客様からお許し得ていますので前からエンジンとA/Tを一緒に取り外します。
フロントバンパー、ヘッドライト、ラジエターコアサポート、電動ファン、ファンシュラウドを取り外しました。

続いてマフラーを取り外していきます。
エキゾーストテンプセンサーを外しておきます。

BMWのマフラーは、本当に重いです。
フロントチューブからタイコまで一本物です。
以前V8のマフラーを一人で取り外した時は、ミッションジャッキが外れて頭に当たり目の前が真っ白になり、3分ほどうずくまりました。

マフラーは、手伝ってもらいなんとか取り外しプロペラシャフトを取り外します。
セレクトレバーロッドも外して置きます。
最後にミッションマウントのボルトを緩めて、ひとまず下回りは、終了です。

今度はエンジン廻りを外していきます。

ボンネットを取り外し、エアインテーク、マイクロフィルターハウジング、クーラーコンプレッサー、パワステホース、エンジンマウント、アースワイヤー、アクセルワイヤーを外します。

次にヒーターホース、DME等のコントロールユニットの配線を取り外して、最後にフューエルラインを外します。

いよいよ、エンジンをエンジンクレーンで吊り上げます。

外し忘れた物がないか当たっている所は無いか見ながら慎重に吊り上げていきます。

反対側もしっかり確認します。クーラーコンプレッサーとクーラーコンデンサーをかわしながらゆっくり吊り上げていきます。

無事に取り外すことが出来ました。
今回の車は、走行距離が多い為A/Tのクーラーホースを取り外すとATFが抜けてしまい新しいATFを補充するとATが滑る可能性があるのでA/Tの配管は、外さずに作業します。

エンジンを下ろしたエンジンルームです。
クーラーの配管も外していません。

エンジンとA/Tを切り離しました。

A/Tの前に付いている部分は、オイルクーラーです。
左側がパワステ用で右側がA/T用です。

左が下ろしたエンジンです。
右が乗せるエンジンです。
これから補機を移植します。

中古のエンジンの補機は、取り外されているので古いエンジンの補機を移植します。
写真の左上からファンベルトテンショナーその隣がオルタネータその右はアイドラベアリング、2段目は左からスターターモーターで隣は、パワステポンプです。下の段の中央が新品のサーモスタット、その右がウォーターポンプです。一番下は、サーモスタットハウジングです。

新しく乗せかえるエンジンに補機を移植していきます。
まずは、ウォーターポンプです。
古いウォーターポンプをウォーターポンププライヤーで、ある程度ガタが出るまで上下させます。
これをやっておかないと次の工程でウォータンポンが破損して更に外しにくくなります。

ウォータポンプの左右に10mmのボルトを均等に締めこんでウォーターポンプを外します。

外れました。6万5千キロの方はさすがに綺麗です。

13万5千キロの方は、こんな感じです。

これは、新しく乗せかえる方のエンジンのオルタネータのハーネスですが、切断されています。
切断した人は、これを交換することを考えてほしかったです。

この配線は、スターターモーターとジャンプスタート用のターミナルとつながっているのです。
どう見ても交換は、大変そうです。
自分も今回交換するのが初めてで、降ろした方のエンジンでまず構造を見てみます。
インテークマニホールドを取り外して裏側のカバーを外します。
下の写真のボルトの頭を固定して下の13mmのナットを緩めると取り外せるようです。

エンジンの上にあるバッテリ上がりしたときに、ブースターケーブルをつなぐプラスのターミナルです。

新しく乗せる方のエンジンです。
こちらは、インテークマニホールドを取り外すとガスケットの交換が必要になる為外したくありません。
なんとかやってみます。
ISCバルブを取り外して狭い隙間から慎重にカバーを外します。

何とか手が入りますので、先ほどと同じようにエンジン上のボルトを固定してナットを緩めます。

取り外したワイヤーです。

左が切断されたワイヤーです。

ワイヤーの中央部分が先ほどのターミナル部で下はスターターモーターにつながります。

こちらは、追加交換になったエンジンマウントです。
さすがに13万5千キロ走行すれば、切れていても仕方ありません。
右側は、封入されているオイルも洩れています。

新品は、こんな感じです。
左側は、つぶれて広がっている感じです。

これは、インテークエアダクトです。これも交換です。
場所は、エアフロ(エアマス)センサーからスロットルバルブ間です。

外観は、特に異常が無いように見えます。

ちなみにここからエアーを吸い込むとアイドリング不調や加速不良の原因になります。

13万5千キロお疲れ様でした。

新しいエンジンもう乗っています。
外した時と逆の工程で行いました。

やっとひと段落です。

後はこちらの取り外した部品達を組み付ければ完成です。

おおぉぉ

ヒーターホースが、短い?

なんとこちらも切断されています。

左の黄色いテープの巻いてある所が、右の銀色の口に刺さります。

古いエンジンから外してきます。

真ん中の黒いパイプに刺さっていました。

エンジン乗せる前に確認するべきでした。

エンジンが乗った状態でこのホースを取り外すのには、苦労します。

最後にエンジンオイルとオイルエレメントを交換して、いよいよエンジンに火を入れる時が来ました。

キュンキュンキュン!エンジン掛かりました!

でもなんか調子が悪い?

テスターをつないで見ました。

カムシャフトセンサーが不良のようです。

ダメもとで、古いエンジンとカムシャフトセンサーを交換して見ます。

このエンジンは、カムシャフトセンサー1個です。

穴の左のセンサーです。

バーノスのソレノイドバルブは、外しました。

カプラーは、写真の中央の手前側です。

サージタンクが付いているとかなり苦労します。

 

この狭いところから、なんとか取り外します。

カムシャフトセンサーです。
上が6万5千キロ下が13万5千キロの物です。

似たような感じです。

取り付けてみましたが、やはりダメでした。

データモニターをするとカムシャフトの角度を59度で固定しているようです。

ちょっとレスポンスが悪い位で警告灯も点きません。

お客様も気づかれていなかったと思います。
こちらの修理は、後日と言うことで、早速試乗へ行きます。

特に問題なさそうですね、ATもまだ大丈夫です。

最後に冷却水漏れとオイル漏れを確認して作業終了です。

今回の修理代

使用部品:中古エンジン

新品ウォーターポンプ、サーモスタット、サーモスタットハウジング、エンジンマウント2個、エアインテークベローズ、ファンベルト、クーラーベルト、エンジンオイル6L、オイルエレメント、パワステオイル1L、LLC4L

工賃も入れて税込39万円くらいです。